キハ35の謎

文字数 695文字

 考えてみれば、キハ35とはずいぶん奇妙な車両ではありますまいか。
 キハ17系、キハ20系に続いて登場した普通列車用キハだが、

・製造は一般色の時代なのに、幕板はクリームに塗られている。
(17系、20系の幕板は朱色でしょ?)

・運転台側の貫通ドアが、17系や20系はクリーム色なのに、35系の貫通ドアは上半分、下半分で塗り分けている。

 いやそもそも17系や20系は、なぜ貫通ドアをクリームに塗り残すようなことをしたのだろう? 
 それ以前の車両で似ているといえば、キハ44000の金太郎ぐらいだが、あれを簡略化したのだろうか。
 もともとキハ44000はキハ44000で、クハ86にならったのだろうけど。

 オハ50が製造されるとき、スハ43や10系客車とは違って、妻板は切妻にはせず、後退角をつけたが、あれは連結や開放作業をしやすくするためだそうだ。
 だから、キハ17系やキハ20系の運転台にも後退角がつけてあるのは理解できるのだが、じゃあなんで、キハ35は完全な切妻なんだろ?

・キハ35には当たり前のようにグローブベンチレーターがついているが、キハでグロベンをつけたものが他に一つもない(だよね?)のはなぜ?

 前面に方向幕があることを考え合わせても、キハ35とは、とにかく電車くさいキハだと思う。
 私の空想だが、国鉄の設計職場には『電車チーム』と『気動車チーム』みたいなものが存在して、キハの設計は『気動車チーム』が、電車の設計は『電車チーム』がすることになっているのだけれど、たまたま何かの理由で、

「キハ35だけは『電車チーム』が手掛けることになった」

 のではないかといった気までしてくるほど。

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