運転準備

文字数 503文字


 ボイラーに火もついておらず、水も入れていないSLを動かすには、火をつけて、数時間の準備が必要だと読んでびっくりしたことがあるが、DLだって、セルモーターでエンジンをかけたきりで、まさか暖機運転もせずに出発OKとはならないだろうに。
 ELだって、パンタを上げれば、それだけですぐに走れそうなものだけれど、何日間か留置されていたELは、空気タンク内の圧縮空気が抜けてしまっていることがあるそうな。
 ならパンタを上げて、空気圧縮機を動かせばよさそうだが、そうはいかず、電車と違って多くのELのパンタはバネではなく、圧縮空気の力で上がるようになっているから、

・圧縮空気ない

・パンタ上がらない

・電気がなく空気圧縮機動かない

・圧縮空気ない

 と無限ループして、ELはいっかな走らない。
 ではどうするかというと、機関士はやおら「ディスコン棒」と呼ばれる長い木の棒を持ち出してくる(あるいは竹の棒かも)。機関区の常備品であろう。

「えいやっ」

 両足を広げてELのそばに立ち、ディスコン棒を用いて、機関士はパンタを持ち上げる。

・パンタが架線に接触

・電気来る

・空気圧縮機動く

 ELの運転にも結構な苦労があるようで…  

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み