223系

文字数 461文字


 初めて223系を見た時のことを思い出した。
 確か京都駅だったと思うけど、ホームに降り立ったら入線してきたので、

「へえ新型かあ」

 としばらく見物することにした。
 第1印象は『221系をステンレスにしたやつ』というところだったけれど、そのうちに面白いことが起きた。
 試運転列車で、何か点検すべき項目でもあったのか、なかなか発車しない。
「まだ発車してはいけない」ということを車掌に示すため、係員が旗を持っている。
 たぶん赤旗だったと思う。
 しかし係員にはやるべき作業もあり、ずっとこの旗を持ってホームに立っているわけにはいかない。
 だから旗には工夫がしてあった。
 根元に大きな磁石が固定してあり、車体にくっつけて旗を立てることができるようになっている。
 これを使えば係員は両手が空き、車掌室からも旗がよく見える…。
 ところがそうはいかなかった。
 車体が鉄じゃないから、磁石がくっついてくれないんだね。
 係員は何度か試していたが、どうにもダメ。
 だけどついに、運転台部分だけは鉄製であることを発見して、そこにくっつけて一件落着。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み