EF58の謎

文字数 1,166文字

 EF58について、私は昔から疑問に思っていることがあった。
 中学の同級生に、このEF58が大好きな奴がいて、
「EF58型電気機関車は、現代でも花形の機関車である」
 という信念を披歴(ひれき)したことがある。
 私はひそかに、
「今ではブルトレ引いてるのは、EF65ばっかじゃん」
 と思ったが、反論しないだけの賢明さは備えていた。
 どっちの機関車が花形であるのかないのか、議論しても水掛け論に終わるばかりであろう。
 それで、このEF58についての謎である。
 いや別に、EF58に限らず旧型電機全般に言えることだが、車軸配置が2CC2で、CとCの間が連結棒でつながれ、けん引力を伝えていることは、よくご存知であろう。
 例えばEF65の車軸配置はBBBだが、台車間に連結棒など存在せず、この棒がけん引力を伝えるという形にはなっていない。
 言ってみれば電車のように、台車から上へ行って車体。車体から連結器を通って、けん引力は隣の車両へと伝えられる。
 ところがEF58はさにあらず。CとCの間が連結棒でつながれている。
 これはまるで、車軸配置が2Cの蒸気機関車を2両、背中合わせに連結したみたいなことで、早い話が旧型電機の設計思想は、
「大直径の動輪を先輪で誘導する」
 ということで、蒸気機関車時代とはあまり変わってはいなかったということになる。
 EF65などの新型機はそうではなく、これはもうただ、
「電車を大型化しただけ」
 の車軸配置で、中間台車を取り外してしまえば、EF65も、モハ103と変わりゃせん、ということだ。
 だが、この連結棒が問題なのである。
 EF58の車体は、C型台車のところで支えられている。ここに中心ピンがあるわけだ。
 中心ピンを中心に、台車がクリクリと首を振る。
 いや、ちょっと待ってくれ。連結棒がその首振りの邪魔をするじゃないか。
 けん引力を伝えるための連結棒だから、もちろん伸び縮みはしない。
 中心ピンは中心ピンで、鉄道模型をお持ちの方ならよくご存じだろうが、ネジで止めてあるわけだ。
 それゆえに、
「EF58の台車は首を振らない。ゆえにカーブは一切曲がれない」
 ということになってしまう。
 これが私を悩ませた。
 ところが、人生いろいろあるもの。
 ウィキペディアを読んでいて、まったく思いがけないところに答えが書いてあったのである。
 その項目がなんと、電気機関車とは直接関係のない「DD10」なんだ。
 と思っていま見に行ったら、載ってない。おそらくその行は削除されてしまったのであろう。
 まあいい。
 中心ピンとは、要するに丸い穴である。台車側に丸い穴が開いており、そこへ車体側の丸い円柱(ピン)がはまる格好。
 それでね、EF58などの旧型電機は、二つあるうちのどちらかの中心ピンの穴が、
「長穴になっている」
 ですってさ。
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