灯台もと暗し

文字数 665文字

 乗車したことも見たこともない。 
 縁もゆかりもないはずなのに、なぜか好きだという車両がたまにあるもので、私の場合には銚子電鉄の デハ301 がそんな感じだったけれど、青春18きっぷで出かけた時にちょうどうまく乗ることができたのはラッキーだった。
 屋根の上にビューゲルを乗せて、特に特徴があるのではないが、何ともかわいらしい電車だ。
 その割に、超有名な デキ3 などは、仲ノ町駅で横目にヒョイと見ただけ。
 
 鉄道の本を読んでいてときどき出くわす言葉に『鶴見臨港鉄道』というのがあるけれど(→現在の鶴見線)、元をただせばデハ301は、この鶴見臨港鉄道の電車。
 もちろんたった1両しかなかったのではなく、同型が全部で10両いたが、鶴見臨港鉄道が国鉄に買収された後は私鉄に譲渡され、あちこちへ散っていった。
 その1両が銚子電鉄のデハ301なわけ。

 まあとにかく、私はデハ301に乗車できてうれしかったのだが、デハ301の同型がすべて私鉄に譲渡されたのかというと、そうではなくて、国鉄に残ったものもいる。
 ただし600ボルト用だから、それらも早期に廃車され、1両だけは改造されて救援車になった。
 それがクエ9401だが、なぜ数字が4ケタもあるのかは知らない。だけど配置が、なんと明石電車区でしてな。
 明石電車区というのは西明石にあり、しょっちゅうではないが、私だって何十回かは通ったことがある。そういえば、茶色いクエがいつも停まっていたのを覚えている。
 あれがなんとデハ301の同型であったとは、知らぬこととはいえ、世間は狭いものでして…
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