セクション
文字数 825文字
私が若かったころと現在とでは、線路の風景が異なっていたりする。
そりゃあPC枕木化されているとか、レールが重軌条化されているとか、シンプルカテナリが、コンパウンドカテナリになったりはしていようが、あるとき突然気が付いたもっとも大きな差は、
『セクションクリア X』
という表示が架線柱につくようになったこと。
(Xには数字が入る)
意味はよくご存じだろうが、JR西日本以外の路線ではまた違った表示になっているかもしれないが、私が言いたいのは、
「なぜ以前は、セクションクリアの表示がなかったのか」
ということ。
必要なかったものが、突然に必要と化したのか? どうして?
あるセクションが停電をして、列車が緊急停止したとしても、その列車がエアセクションをまたいで停止しようが、またいでおるまいが、昔は誰も気にしなかったのだろう。
パンタが複数ある長編成の電車が、エアセクションをまたいで停車してしまった時、例えば編成に4つあるパンタのうち3つが停電セクションにあり、通電セクションにいるパンタがただ1つきりだったとしても、昔は問題が起きにくかったのかもしれない。
だって昔の電車には、冷房なんかついてないんだから。
停車中に電車が食う電力といえば、せいぜい室内灯と補機電源ぐらいのもの。それがただ一つのパンタに依存してしまっても、きっと架線が溶けるということはなかったのだろう。
それが今ではクーラーがバンバン動いているから、その大電流がただ1つのパンタを経由してしまっては、
「こりゃあたまらん」
と架線は溶解してしまうのだろう。
つまり『セクションクリア』のあの看板は、電車の冷房化の進展に伴って必要になって来たのだと思っているのだが、この考えは違いますかね?
(※)
たとえ非冷房の時代であっても、冬季の電暖は大電流を食っていたはず。
想像だが、当時から、冬季に駅間で緊急停車するときには、「ただちに電暖をオフにする」というのが車掌には徹底されていたのかも。