103系

文字数 1,025文字


 103系というのは、国鉄電車の代表みたいなところがあるね。
 古い話で恐縮だけれど、1970年に開かれた万国博覧会のどれかのパビリオンで、

「100年後ぐらいに掘り出して開ける予定のタイムカプセル」

 というのが展示してあって、その中に収める予定の品々が並べられていたが、そこに、どこのメーカーのものかは知らないけれど、HOゲージのクハ103があったことを覚えている。

 一口に103系といっても、関西の人と関東の人とでは、いだいているイメージがだいぶ違うかもしれない。
 関西といっても、私が知っているのは大阪緩行線限定だが、大阪緩行線には、

・クモハはいない

・低運転台ばかりで、高運転台はほんの1両か2両しかいない

・運転台を編成中間に持ってくるようなことはしない

 というかんじ。
 一時期、普通電車はすべて103系だったから、生活をするうえで、103系に乗らない選択はないぐらいだったが、そのうちに気が付いたことがある。
 客室の「貫通ドア下辺」と「床板」をつなぐ部分に、断面が三角形をした角材が用いられているのだけれど、これがなんと木材だった。

「へえ、新性能電車にも木製の部品があるんだ…」

 そういえば大阪緩行線の103系では、ときたまスカイブルーの塗装がはがれている個所があって、その下にはウグイスの地肌が見えているではないか。

「もと山手線の車かあ…」

 ウグイスやカナリアをはじめ、103系には各色があることは昔から知っていたが、エメラルドグリーンのことは、私は全く知らなかった。
 初めて知ったのは常磐線に乗車した時で、

「なんだこれ? そうか、京浜東北線のスカイブルーが色あせたんだな」

 そういえば、茶色塗装ではない旧型国電を最初に目にしたのは、いったいどこでだったろう。
 いつの頃からか私は、各色の103系に合わせて、同じように各色の旧型国電が日本のどこかを走っているのだと思ってしまったのだが、それは部分的には正しかった。
(さすがにエメグリの旧国が存在するとまでは思わなかったが…)

ウグイス: 可部線
オレンジ: 阪和線 片町線 
スカイブルー: 大糸線 富山港線
カナリア:  ?

 その通り私は、黄色に塗られた旧国がどこかにいると思っていたということ。
 そんなものは実は存在しないらしいとわかってがっかりしたが、それが最近になって、国鉄線ではないけれど、相模鉄道のモハ63が黄色に塗られていたことを偶然に知って、ようやくパズルの最後のピースが埋まった感じ。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み