駅そば

文字数 385文字


 またK君の話。大体この人はホラ吹きなので、あまり信用できない。
 旅行中、K君はある駅の立ち食いそば屋で、見知らぬ男がそばをかき込んでいるのを目撃した。
 ところがそこへ列車到着。
 K君もその見知らぬ男も、乗車しなくてはならない。
 ところがその男のそばはまだ食べ始めたばかりで、その場で食べ続けていては、とても列車に間に合いそうにない。
 しかし男はあわてず騒がず、丼を傾け、自分の服のポケットの中に、そばも汁も全部流し込んでしまったではないか。
 そして何食わぬ顔で乗車し、車内では新聞を読みながら、ポケットの中に指先を差し入れ、そばを1本2本とつまみ出しては、平気な顔で食事を続けたとな。
「そのポケットはどうなってるんですか?」
 と、もちろんK君は問うたが、
「内部が防水加工されているのだよ」
 との答えでびっくり。
 しかし個人的には、私はこの作り話をあまり信用していない。

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