青春18きっぷのないころ

文字数 789文字

「青春18きっぷが発売されるようになる前には、鉄道ファン的長距離旅行はどうやったのですか?」

 などという質問をいただいてはいないが、自主的にお答えしよう。
 もちろん大昔、青春18きっぷはまだ存在しなかった。最初は「のびのびキップ」という名で発売され、その後に青春18きっぷと名前が変わった。
 とにかく、そののびのびキップもまだ存在しない時代に、考えていただきたいが、

 例えば神戸を出発して、東海道線を豊橋へ、そこから飯田線に入って辰野、さらに中央線を西へ松本へ。
 松本で大糸線の旧型国電を撮影し、その後、篠ノ井線と碓氷峠を越えて高崎。
 高崎からは東京を目指して、その後は鶴見臨港線を撮影して家に帰る。

 という旅行プランを立てたとする。
 今なら青春18きっぷがあれば問題はない。実に簡単である。しかしまだ存在しない時代であるから、どうやったのかといえば…

 まず時刻表と首っ引きで、駅名と距離を調べて、メモ用紙に書きだす。
 駅間距離というのは、以前は一通りでよかったが、途中からはローカル線用の「運賃計算キロ」というものが現れて、面倒になった。

 こうやって書き出した駅間距離を全部足し合わせる。つまり、

神戸→豊橋

飯田線全線

辰野→(松本、横川、高崎、東京経由)→豊橋のちょい東のどこかの駅

 これで総距離が出る。
 だがこれだけでは帰宅できないので、

豊橋のちょい東のどこかの駅→
神戸

 というもう一枚の切符も必要になる。

 以上のことを紙に書いてまとめ、駅の有人改札口がすいている時間を見計らって、オーダーメイドで切符を作ってもらう。
 駅員さんももちろん検算するから、作ってもらうには30分ぐらいは軽くかかる。

 それはそうと、私の時代にはすでに電卓がどこの家にも存在したからまだよいが、それ以前はどうやったのだろう?
 いや、手計算かソロバンを使ったに決まっているが、きっと大変だったであろう。
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