文学的
文字数 556文字
小中学生の頃というのは、とかく背伸びして大人の本を読んでみるものかもしれなくて。
「機関車や車両だけでなく、台車にもそれぞれ名前が付けてあるんだ」
と私が初めて知ったのは、そんな本を読んでいた時。
クモユニ74についての解説で、
「台車はDT13と少し古めかしいのを履いているが…」
という表現だったと思うが、靴と同じように台車を「履く」というのが、「これぞ大人っぽい文章表現!」と感激したのだったか。
私が読んだのは主として鉄道模型の雑誌だったが、大人のオジサンたちの間では、「結婚する」とか「私の配偶者」というのもそれなりに重要な話題だったようで、婉曲な表現ながら文中にしばしば出くわした。
テンダーをもらう → 嫁をもらう
うちのカブース → うちの女房
でもだからって、タンク機関車を独身者になぞらえることはなかったし、カブースをなぜか車掌車とは表記しなかった。
その後の時代、車掌車なしの貨物列車が当たりになる頃には、こういう表現はどう変わっていったのだろう。
最後にもう一つ。
ある妻帯者にはお子さんも一人いて、
「近頃は生活に追われ、なかなか鉄道模型を楽しむ時間的余裕がなくて…」
というのを、こう表現してありましたぜ。
「1M2Tの負担に追われ、近頃は模型のほうはさっぱり」
昔の雑誌とはこんな感じでした。