緩急車
文字数 401文字
緩急車というのは、要するにワフやスハフのことだけれど、現代では、本来とは意味が違っているように思う。
広辞苑によると、緩急とは、
「おそいことと早いこと」などとある。
古い時代の列車には空気ブレーキなどはなく、編成中に何両かおきにポツンポツンと、手ブレーキ付きの車両を連結していた。
これら一両一両に、もちろん人が乗務していて、停車駅が近づくと、機関車からの汽笛の合図のもと「それっ」とばかり、手ブレーキのハンドルをくるくると回すといったものだったらしい。
機関車にしかブレーキの付いていない編成よりもブレーキ力があるので、速くも遅くも走ることができる。
つまり列車に「緩急が付く」。それがもともとの意味だったようだ。
列車に空気ブレーキがあるのが当たり前の時代になってからは、「緩急車」は単に「手ブレーキ付きの車両」という意味になった。
ワフやスハフの「フ」は、本来はブレーキの「ブ」であったのだ。