EF65

文字数 965文字


 子供はときどき、訳の分からないことをする。
 これは私自身のことを言っているのだが、小学校6年か中学1年の頃、すでにHOゲージのPFを1両持っていたにもかかわらず、模型店の店先で見つけたDT115台車を衝動的に購入してしまったことがある。
 これはPFの台車セット(3個)だが、なにもPFをもう1両作ろうという計画があったわけではない。
 すでに走っているPFが存在する以上、線路の上に飾っておくしかできない台車で、何の使い道もない。
 ところが、後になって気が付いた。
 国鉄の実物の話だが、

「EF65には、1両あたり2組分の台車が用意してあった…」

 そうである。
 保存車や展示車ではなくて、線路の上を日常走っている車両は、定期的な点検が必要になる。
 その点検も、重要部検査とか全般検査とか、色々種類があるそうだ。
 当時、EF65はそれこそ東海道線と山陽線を走り回っていたから、車体の検査よりも台車、つまり足回りの検査の方が早く回ってくる。
 いま数字は適当だが、例えば車体の検査は6か月に一度でいいのに、台車の方は3か月に一度検査が必要になるというような感じ。
 ならば、

「その台車点検ごとにEF65を丸々1両、工場へ入れて休ませるのはもったいない」

 と、こんなところで『もったいないお化け』が出たかどうかは知らないが、国鉄はこう考えたらしい。
 まず、ロコよりも台車を余分に多く作っておく(ロコが100両あるなら、台車は200両分というように)。
 そして、あるロコの台車検査が近づいてきたなら、ロコから台車だけを外してしまい、検査済みの別台車をサッとはめて、ロコは再び本線へ送り出して仕事をさせる、とまあ、こんな具合。

 ただこれはEF65だけの話らしく、いくら同じ台車をつけておるからといって、EF60とは台車の共用はしなかった。ギア比が違うから。

 ところで、この『台車2倍ささっと交換大作戦』は、国鉄の専売特許ではなかったはず。
 それ以前に、762ミリゲージ時代の小坂鉄道が似たことをしていたから。
 小坂鉄道には同型の凸型EDが2台あったが、台車だけは3両分が用意してあったと何かの本で読んだことがある。


(ぐぬぬ困ったぞ。『台車2倍ささっと交換大作戦』については、確かに私は上記のように記憶しているのだが、ウィキペディアにはのっとらん)
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