ねじ

文字数 840文字

 人生とは短いようでも、長いようでありますな。ほんの些細なことですが…。
 2ミリネジというのは、文字通り直径が2ミリのネジです。
 HOゲージの車両で、恐らく一番よく使われているでしょう。
 車体と床下を固定する。
 連結器の固定。
 台車の組み立てなど…。
 基本的にパンタを止めるネジだけがもっと細く、1・2ミリを使うようです。
 実物の機関車メーカーとして、まるでそのものズバリの「汽車製造株式会社」というのがあったのと同じように、かつて鉄道模型の世界にも「鉄道模型社」が存在し、略して「モケイ社」などと呼ばれていました。
 一時期はなかなか気を吐いていたメーカーでして、EF58、C62、DD51、EF80と製品ラインナップは広かったのです。
 ネジの径は、私が小学生だった頃と現在の模型を比べても、大差はありません…。
 と言いつつ、実は変遷もありまして。
 私が最初にキットを組み始めたのは小学5年の頃ですが、動力のないトレーラーですが、キハ80がその第1号でした。
 この塗装済みキットとともに、私とネジとの付き合いが始まったのですが、このキットに入っていたのは、全てマイナスのネジでした。
 模型を離れた一般の世界でも、当時はそんなものだったと思います。ネジはマイナスで当たり前。
 ところがたった1年後、小学6年になって、キハ80と同じメーカーですが(モケイ社ではありません)の別のキットを購入して少しびっくりしたのは、同じ2ミリネジでも、プラスネジに変わっていたことです。
 去年使ったドライバーはもはや役に立たず、私は新しいプラスドライバーを買わなくてはなりませんでした。
 だからって、嫌な気はしませんでしたがね。ほんの一歩だけ、大人の世界に近づいたような気がしたものです。
 ネジをしめる時には右へ回す。ゆるめる時には左を回すのですが、私はそれで迷ったことはありません。
 ドライバーに手を触れると、小学6年の時にPFの床板を固定するネジを回した手ごたえを、いまだに手が覚えているのです。


ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み