ラッセル車

文字数 743文字

 キ100が除雪をするところなど私は見たこともないが、聞いた話では、車体左右の翼を広げたり引っ込めたり、プランジャを上げたり下げたりするのには圧縮空気が必要なのだそうだ。

左右の翼:車体左右の雪をどける
プランジャ:レールの内側の雪をどける

 そういえばここで、お若い方々が御存じないかもしれないことを一つ。
 113系とかの新性能車の場合には、客用ドアとブレーキ以外にも、圧縮空気を動力とする装置があった。
 それは何かって?
 運転台のワイパーですな。
 当時のワイパーというのは、電気スイッチをパチンとオンオフするのではなく、ちょうど水道の蛇口にあるような丸いバルブがあって、それを手で開いて空気を送り、空気力でキュッキュッと動かしていたわけ。
 だからキ100の翼やプランジャも、同じ動作原理であったろうよ。

 ところがここで疑問が生じる。

「自走すらできず、たかだか貨車にすぎないキ100のどこにそんな動力源がある?」

 もしかしてコンプレッサーが積んである? まさかね。
 じゃあ「元空気ダメの引きとおし管」があって、それがロコとつないであるのか。
 
 それもありそうにない気がする。
 だって、蒸気機関車は「元空気ダメ引きとおし管」なんて持ってないよ。

 じゃあどうすんのさ?
 ここからは私の想像だが、後ろにつないであるロコからキ100が空気をもらうとしたら、ブレーキ管経由しかないでしょ?
 だからキ100はロコと連結しても、出発前に長く待機して、ブレーキ管を通して圧縮空気の供給を受け、除雪作業に備えて大量に蓄えておくのだろう。 
 その間ロコは、転動しないように、単弁やら手ブレーキやらをフルにかけているはず。
 こう考えれば、キ100の背中にでかい空気タンクがいくつも積んである理由が納得できません?
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