活魚車
文字数 445文字
昭和6年、まだ冷蔵技術が未発達だったころ、魚を生きたままで輸送する活魚車が製造されたことは、よくご存知だろう。
記号は「ナ」で、ナ1とナ10が存在したらしい。
記号の出典はおそらく「サカナ」の「ナ」でしょうよ。(※)
ここで命名者の苦労をしのんでみると、まず活魚車には3通りの命名が考えられたはず。
「サカナ」の「サ」から「サ」と命名すれば、
→電車の「サハ」とまぎらわしい。
ならば「カ」では、
→なんだか家畜車みたいだ。
最後に「ナ」だけれど、これも客車の「ナハ」とまぎらわしいと言えば言えるけれど、この時代にナハといえば基本的に木造車だけで、昭和6年といえば鋼製客車の本格的な量産がすでに始まっていた頃。
「木造車すなわちナハは、今後は姿を消して行く予定だから、そうそう混同はすまい」
という判断で、活魚車には「ナ」を採用したのかもしれない。
だけど、その29年後にナハ10その他が量産されることなど、もちろん夢にも知らなかったでしょうよ。
(※)
ウィキペディアは「生魚」語源説も載せている。