鷹取駅
文字数 658文字
鷹取(たかとり)駅は面白い。
神戸市内にある山陽線の駅で、ここから伸びる引き込み線が川崎重工の工場につながり、カワサキ製の車両はここを通って出荷される。
私が生まれてはじめてEF63を見たのも、DE15にお目にかかったのも、みなこの鷹取駅だった。
今の私はそれほど旅行したりはしないが、それでも各地の車両を多少は目にしたことがあるのは、この駅のおかげ。関東私鉄の電車とか、ミニ新幹線とかが、みなDE10に引かれて回送されてゆく。
そういえば学生時代だが、帰り道にここで奇妙なものを目撃した。
まだ塗装も艤装も済んでいない機関車の車体なのだが、仮台車と連結器をつけて、貨物列車に連結されて到着したところらしかった。
おそらくこれから川崎重工へ送られ、完成車になるのだろうという感じ。
蒸気機関車やDE10であれば、前後非対称の車体というのも見覚えがあるけれど、このときの車体はどうにも電気機関車くさかったから、そこがまず変な感じ。
特に顔なんか、PFと同じじゃないですか。
それでも車体側面に並ぶべき空気抜きのヨロイ戸が、前方だか後方だか知らないが、一方向にだけ見事に片寄っている。
「はああ、なんだか知らないが輸出用の機関車だな」
と思ったことを覚えている。
日本から外国へ輸出する機関車の中には、EF65やらEF66やらによく似たのが時々いるということぐらいは私も知っていたのだ。
だがしかし、その正体を雑誌の写真で見た時の衝撃。
「国鉄の機関車じゃないか!」
EF64-1000との初対面は、こういう感じでした。