テセウスの船

文字数 1,047文字

 今回はなにやら格好をつけたタイトルがついているのでありますが、

「国鉄のモハ63(クモハ73)の中には、冷房化改造を受けたものがある」

 と私が言えば、皆さんは即座に、

「ウソやで」

 とおっしゃるであろう。まあウソなんですけどね。
 といっても、赤2号のような真っ赤なウソというのではなく、赤13号程度のウソっぽいウソであります。

(※)
赤2号:ED75 オハ50の塗色
赤13号:401系の塗色

 山陽電鉄がその昔、国鉄のモハ63を所有して走らせていたことは、私も中学の頃から知っていたように思う。
 本で読んだ知識ではなくて、山陽電鉄の車庫には、台車を外した古いモハ63の車体が倉庫代わりによく置かれていたから。
 台車は、1435軌間に改軌されてはいたがDT13で、これは旧型国電でおなじみのやつ。
 私の中学当時、モハ63から取り外されたそのDT13は別の電車に取り付けられていたが、出自は丸わかり。
 昭和30年代の山陽電鉄には、2000系という新性能車があった(もちろん新造車)。
 これにそっくりの車体をさらに追加で新造して、700系(モハ63)から外してきた台車、モーター、機器を取り付けて完成させた車両があり、2000系と700系の組み合わせということで、2700系と称した。
 2700系は3連で、その数十年後に、台車、モーター、機器を新品と交換して新性能化したのだが、700系の影響を取り除き、3000系と同じ機器を用いた新性能化だということで、

2700→2300系

 と改番した。
 この2300系は冷房化までされ、ドアが両開きではない片開きの電動車としては唯一の冷房車になった。
 しかし何か不都合があったのか、最後は3連をバラバラにされ、モーターもパンタも外してサハ化して、3000系の中間車になった。
 3000系のサハ3500の60番台ということで、サハ3560となって生涯を閉じた。

 以上をまとめると、数奇なモハ63の一代記であります。

国鉄モハ63の800番台が入線し、山陽電鉄800系となる

なぜか改番して 700系

2000系と同様の新造車体を得て、2700系となる

車体はそのままで、3000系と同等の機器を得て、2300系となる 冷改

サハ化して3560となる

廃車

 2300系となって冷房化された時点で、モハ63のものだったオリジナルの部品は小ネジ一本引き継いではいなかったかもしれないが、少なくとも車歴はタネ車の物を引き継いでいようから、モハ63はモハ63でしょ?
 うん、たぶん…
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