そうじゃなくて

文字数 572文字

「そうじゃなくて、実はこうなんだよ」

 と鉄道ファンでない一般の人に向かって講釈しても、うるさい奴だと思われるだけかもしれない。
 だから私はあまりしてこなかったが、そんな例をいくつか。

・私の祖母は、国鉄の普通列車のことをいつも『汽車』と呼んだ。
 山陽線だからもちろん電化してあり、車両もモハ80系だったのにね。


・京都の親戚宅へ父と向かった時に、普段なら京都駅前から市バスに乗るのに、「山陰線に乗ろう」と私が言い張ったことがある。
 山陰線某駅から親戚宅への道筋を覚えていたからだが、このとき京都駅山陰線ホームに入ってきたのが、

DD54 + オハ61系

 という編成。
 父はあまりご機嫌がよろしくなく、

「こういう車両は戦時中のことを思い出すから嫌だ」

 とのこと。
 オハ61は戦後の車両であることを、私は指摘せずにおいた。


・父の田舎へ帰省するのに、私は何度も特急『しおじ』に乗車したが、山陽新幹線ができて、しおじは廃止された。
 ところがその後、父が言うには、

「あの後、しおじの電車はどこへ行ったのかと思っていたら、今では雷鳥として北陸へ走っておるのを目撃した」
 
 いいえ父上、しおじは181系、雷鳥は485系で…(以下略)

 ところが、これは必ずしも私が正しくないようだ。
 初期はともかく、後期のしおじは九州特急と共通運用にするため、485系だったそうな。

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