動輪が3つ
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3動軸のSLなど、世に珍しくもない。
C11 C12 C57 C62など…。
DLの場合、3動軸は国鉄にはDC10とDC11しか例がないが、私鉄や引き込み線には山ほどいた。
ところがELの場合には、国鉄や私鉄を見回してもただ1台、EC40しか見当たらないのはどうしてだろう?
というのはカマトトで、実は理由は分かっておるのです。
「昭和期以前のELは、奇数動輪では設計しにくかった」
昭和期以前というのは、要するにあの「VVなんとかF」という半導体が実用化される前という意味。
(このあたり、なにやら新技術に対する敵意を自分でも感じるぞ)
EB10みたいに、モーターが2個しかないELがいるとして、これら2個のモーターの接続方法は直列と並列の二つしかない。
(直列)
・・・[モーター]・・・[モーター]・・・
(並列)
・・・・[モーター]・・・
・・・ ・・・
・・・・[モーター]・・・
これらのモーターには、架線電圧をまず抵抗器で下げてから電流を流すが、仮にフルパワーで1500ボルトをかけたとしても、並列つなぎの場合には各モーターに1500ボルトがかかるが、直列つなぎの場合には、半分の750ボルトしかかからない。
そうであれば、例えば抵抗器のノッチが5段しかないとしても、まず直列つなぎで発車して5段使う。
次に並列つなぎに組み替えて5段使うとすればアラ不思議、5段しかない抵抗器でも、マスコンには10個のノッチが刻めることになる。
実際の機関車は4個モーターか6個モーターだから、直列と並列だけじゃなくて、直並列つなぎも可能になる。
すると、5段しかない抵抗器でも、マスコンにはなんと15段のノッチが刻めることになる。
そういうことだから、昭和期のELはモーター数が偶数でないと設計しにくかったのであります。
じゃあなぜEC40は「C」なのかというと、あのロコは実は1個モーターでして。
(ラック用モーターを除く)
1個しかないモーターからロッドを伸ばして動輪を3個まとめて駆動しているだけで、事情がまったく異なるのでした。
と、こんなことを書いた後で例外に気が付いた。
もちろん奇数動輪を持つロコではないけれど、奇数個のモーターを持つELが存在する。それも2形式も。
EF80とEF30。
軽量化のため、こいつらはモーターを3つしか持たない。
(普通のF級機は6個モーター)
EF80もEF30も、直列つなぎ、並列つなぎで走っていることに変わりはない。ただし当然ながら、直並列つなぎはできない。
さらにEB10だけれど、バテロコから改造してきた関係で、こいつは実は直列つなぎしかできない。
(バテロコ:かわいい単語だと思う。バッテリー・ロコのこと)