ある電車

文字数 601文字

 中学の頃の話。
 山陽電鉄の256は、シルヘッダーつきの旧型電車にしては、珍しく中間電動車だったが、それはまあよろしい。
 元はクモハで、運転台があったのを撤去したのが丸わかりの顔をしている。
 だが問題なのは、この256とコンビを組んでいた257のことで、こいつがクハであるのか、それともクモハであるのかが判然とせず、私は頭を悩ませていた。
 編成で言うと、

(番号忘れた)+256+257

 という3連。

(なぜ257がクハと思えるのか)
電動車にしては、床下機器が少しさびしいような。
パンタがついてない。
しかしながら山陽には330というパンタなし電動車も存在したので、パンタの有無は決定的な証拠にはならない。

(なぜクモハと思えるのか)
見るところ山陽250系にはトレーラーは存在せず、みなモーター付きばかり。

(台車では分からんのか?)
山陽電鉄では台車の標準化も進んでいて無理。

(MT比では分からんのか?)
当時、山陽の旧型車3連は2M1Tと3M0Tが入り混じり、この方面からの判断は不可能であった。

 というわけで結局、257がクハであったのかクモハだったのか、その答えはいまだに知らない。
 ところが今、思いついてウィキペディアで250系の項目を読んだら、あっさり一言で書いてあるじゃないですか。


『また、全車電動車として竣工した。』


 はいそうですか。えらく簡単に書いちゃって、私の苦労をもう少し買う気はないですかね?

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