豊橋にて
文字数 401文字
あるとき、飯田線に乗るため豊橋駅で1時間ばかり時間をつぶす必要が生じてしまい、一人でうろうろしていたのだが、回送らしい無人の編成がずっと1番線に停車しているので、何気なく近寄ってみた。
先頭のクハは私に左側を向けていたので、運転台の中をのぞき込むのは簡単だった。
運転手席には当たり前のようにマスコンが鎮座しているのだが、へえと思ったのは、クハ103などで普段よく見かけるタイプとは違い、抑速段のあるマスコンだったこと。
「ほほう」
だが私はまだ何も気づかなかった。
意味が分かったのは、何年もたってからのこと。
そういえばあの湘南色のクハは、塗り分けは165系ではなく、153系と同じになっていた。
つまり私がのぞき込んでいたのは、クハ153ではなく、もちろんクハ165でもなく、クハ164の運転台だったわけ。
クハ164:
どんな希少な珍車であるかと期待しつつ、いま調べてみたのだが、8両もいたのだね。