コンプレッサー

文字数 667文字


 得意かどうかは別にして、私はコンプレッサーの口まねをするのが好きな子供だった。
 停車中、走行中にお構いなく突然に、床下からドタドタと音が聞こえてきたかと思うと、また予告もなく突然に停止するコンプレッサーというものが、それほど面白く感じられたのだろう。
 そんなふうに、電車のコンプレッサーとは動作、停止が分かりやすいものである。ならキハの場合はどうか? キハもモハと同じように、

「おや、いまコンプレッサーが動き始めたぞ。止まったぞ」

 と聞き分けることができるものか。
 おなじみのDMH17ではなくて、DMF13の話で恐縮だが、ある時、ある駅のホームで長時間列車を待つ必要があり、目の前に停車しているキハの床下を眺めていた。(昔の記憶ゆえ、思い違いの可能性もございますが)
 そのエンジンはずっとアイドリングしていたのだが、シリンダブロックの横あたりにベルトとプーリーが露出していて、エンジンの力を受けて、それがくるくると回転しているのだ。
 そのプーリーがコンプレッサーにつながっているのまでよく見えた。つまりこういうことらしい。

『キハのコンプレッサーはエンジンに直結しており、エンジンが回転している時には、コンプレッサーも常に回転している』

 ただコンプレッサーも、いつもいつも圧縮空気を作っているわけではないから、用のない時には、エンジンの力を受けてピストンを上下させつつも、おそらくバルブが全開にされていて、空回りをしているのだろう。

結論として、

「キハのコンプレッサーの作動/停止を耳で聴き分けることはできないだろう」

 となりました。

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