謎の荷物

文字数 497文字


 子供だった頃、よく見かけた駅の光景がある。
 大きな駅には荷物列車が停車して、積み下ろしが行われる。
 マニ36とかマニ60とか言った連中。
 私も暇だから、積み替えを待つ荷物類を眺めていたりする。
 そして、その中に発見するのだ。
 呼吸ができるようにポンポンと穴の開けてある段ボール箱があって、中身がちょこちょこと顔を出している。鳴き声も聞こえる。
 金色をしたやわらかい毛。
 そりゃそうだ、雛なんだから。
 雛って、鶏の子供ですよ。あの時代には、雛はそうやって箱詰めし、列車で輸送できた。
 ただ分からないのが、それが荷物列車向けの荷物だったのか、郵便列車向けの荷物だったのかということ。
 あの頃、「ニ」と「ユ」は混結されていることが多かったからね。
 ところが、今になってふと思いついた。あれが荷物列車か郵便列車、どちらの荷だったのか結論が出せそうだ。
 と言っても難しい話ではなく、 郵便局のサイトへ行き、

「生きた動物をゆうパックで送れますか?」

 とFAQを見れば済む。
 雛の輸送をゆうパックは現在でも引き受けているので、昭和時代にもしてたでしょうよ。
 というわけで決定。あれらの雛は郵便車の荷でした。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み