能勢電鉄

文字数 589文字


 雑誌を読んでいたら、とんでもないことが書いてあった。
 といってもケシカラン記事というのではなく、なんでも能勢電鉄の国鉄前線が廃止されて40周年なので、それを記念する行事が行われたという至極まっとうなもの。
 でも私、あの路線には乗ったことがあるんですが…
 現在の能勢電鉄は、川西能勢口駅から出発するが、過去にはさらに西へと線路が続き、福知山線の川西駅あたりまで伸びていた。
 なぜかというと、かつて能勢電鉄の沿線には鉱泉があって、炭酸水が製造されていた。
 それを輸送するために、国鉄駅まで電動貨車が走っていたわけ。
 その後、炭酸水の出荷はなくなったが、国鉄駅へ向かう線路は残され、一日に数往復、旅客を運ぶ電車が走っていた。
 走るといっても、本当に早朝と夕方だけだから、私の家から乗車しようとすれば、始発に近い電車で出かける必要があった。
 しかし若いころは元気だったので、出かけたのですな。
 路面電車を少し大きくしたような車両が、まるで90度あるんじゃないかと思える急カーブの上を、Zパンタを振りかざし、ゆっくりと走る。
 それでも、すぐに終点についてしまう。
 そのくらい短い路線だから。
 ここを走る電車は2両、51号と61号があり、交代交代で運用されていたが、51はともかく、61には連結器もついていなかったよ。
 そのくらい路面電車的であったということ。
 それが40年前のできごと。

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