貫通路

文字数 687文字

 昭和30年代には、例の「色の大爆発」以外にもいろいろなことが起こった。
 その一つに軽量車体の採用だけでなく、電車の車体がやたらコロンと丸くなったというのがある(と思う)。
 東急のアオガエルとかね。
 しげしげ眺めれば、クハ111やキハ20がどれほど丸っこいことか。

 同じ時代の流行かもしれないが、国鉄は採用しなかったようだけれど、

「広幅貫通路」

 車両同士の連結面の通路が幅広いだけでなく、貫通ドアも省略してしまう。
(貫通ドアをつけるなら、両開きのドアが必要になるからね。それが面倒で、ドア自体を廃止したのだと思う)

 個人的に記憶にあるのは阪急の2000系で、一つ手前の1000系ほどコロコロしてはいないけれど、こいつも広幅貫通路を持ち、しかも連結面は貫通ドアなしであった。
 最初は2連だったからよい。
 クモハとクモハのコンビで、
「車掌室から運転室まで、ひとめで見渡せますよん」
 という程度のこと。

 しかし時代は下り、世は8連が当たり前になる頃、2000系も2連ユニットを4個連結して(あるいは4連ユニットを2個であったかも)、8連の貫通編成。
 編成中間で突合せのクモハ/クハはとっくに運転台を撤去され、立ち席になっているが、貫通ドアは取り外されているから、なんと8連だけれど、途中に貫通ドアは一枚もなく、
「車掌室から運転室まで、ひとめで見渡せますよん」
 どころか、風通しが良いことこの上ない。
 それがどれほどかというと、慣性の法則に従い、

・発車時には、前から後ろへ向かって

・停車時には、後ろから前へ向って、

 ドーンと風が吹き抜けてゆく。
 夏は涼しくていいが、冬はちょっとね。

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