緩行線
文字数 805文字
またまた大阪緩行線の話題。
私が学生だった時代は、ちょうど新快速が153系から117系に入れ替わる時期で、両方の姿を本線上で見ることができた。
この2車はドア位置、つまりホーム上に描かれる乗車位置がまったく異なるので、毎回の乗車時にホーム上で乗客たちが混乱したのではないかと不思議に思われる方もいるかもしれない。
あるいはホーム上の案内放送で、
「次に参ります新快速は153系なので、その乗車位置でお待ちください」
などと案内したのだろうか?
いいえ。あくまで私の記憶であるが、そんな放送はなかった。
117系であるか153系であるかは、その瞬間まで乗客には分からない。
だから、乗車位置に自信を持って並びようもなかったように思う。
学生の日々、夏の日のホーム上では、こちらへ向って入線してくるクハ103の屋根上に向かって、盛んに目をこらした。
もしそこに、AU75の影でも見ることができれば当たりで、ホッとする。三宮まで冷房の中にいることができるのだから。
もしも非冷房車であれば、あとは我慢するしかない。
冷房車と非冷房車の当たり外れといえば、113系の快速もそうだったけれど、たとえ夏の日に非冷房車であっても、閑散時であれば、また別のお楽しみがあった。
もちろん113系の初期車、つまり側窓がユニット式でない連中に限ってのことだが(窓の四すみにカーブがついていて丸い。デカ目)、
ユニット窓とは違い、こいつらは本当の意味で窓を全開にすることができたから、その気持ちのいいこと。
わかる?
ユニット窓の下段は上昇できても、上段は下降してくるだけでしょ?
そうではなくて初期車は、上段も下段も共に上昇する。
まるでオハ35か何かのように、ガラスは完全に幕板の中に消えてしまうのだ。全開とはそういうこと。
現在でもそうだが、大阪緩行線の須磨と塩屋の間は海岸べりにそって走る。
あそこで窓を全開にできたのだから。