キハ200

文字数 670文字

 以前の車両は、ブレーキシューが鉄製のものが多かったから、停車時には大きな音がし、派手に鉄粉をまき散らす。

 新性能以降の電車のシューはレジンで、鉄製ではない。
 鉄製シューは、客車と貨車、さらにキハがそうで、形が似ていても、電車とキハでは台車形式を共通にしなかったのは、それが理由の一つだろう。

 例えばモハ103のDT33と、キハ58のDT22は顔がよく似ているが、上記のようにシューの材質が違う。


 JR九州にキハ200という車両があり、乗車する機会があった。
 駅で見かけて、まず最初に思ったのは、
「これって、台車は205系と同じ奴だな」
 205系は、大阪緩行線で日ごろからおなじみであった。

 キハ200がいざ動き始めて笑ったのは、やはり乗り心地が205とそっくりであること。
 そのわりに、床下からはエンジンの音がしっかり聞こえていること。

 そしてキハ200が、最初の駅に停車しようとしたとき…。

ズズズー。

 鉄シューなんですな。 
 さすがはキハじゃ。

 昔の線路はこの鉄シューから出る鉄粉が積もって分厚くコーティングされ、まるでクリスマスケーキにかけたアイシングのようであった。
 砂利どころか、枕木すら見えないことも珍しくはなかった。

 いずれにしても、当時の砂利は鉄粉のおかげで茶色に染まっていた。
 現在の線路は、砕石の色そのままの灰色のことが多いけれども。

 いつも思うことだが、鉄道模型で、KATO製のユニトラックは、黒い枕木と灰色の砂利で、いかにもアメリカ的な見かけの線路だと思う。
 メーカーとして、アメリカが最大のマーケットなのだろうね。

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