空気ブレーキ
文字数 837文字
世には三動弁(さんどうべん)というものがあり、鉄道車両のブレーキ機器なのだが、解説や説明を読むたびに、
「すげーなー」
と敬服してしまう。
だが悲しいかな、本のページを閉じて5分もたつと、私はその構造を忘れてしまっている。それぐらいすごい仕掛けなのだ。
日本で言えば明治時代の設計だろうに、考えたのはどんな天才なのだろう。
ウエスチングハウス社製だからアメリカ製で、客車や貨車にも積まれているのだが、電気などは一切使わない装置である。
(最近のコキなどはともかく、ワムとかトラとかいった一般の貨車には、電気仕掛けは全く装備されていない。これはこれですごいことかと…)
仮に世の空気ブレーキがもっと簡単な装置で、貨物列車で、機関車と貨車とをつないでいるゴム製の空気パイプ、あれに、
「圧縮空気を送って気圧を上げればブレーキがかかり」
「気圧を下げればブレーキがゆるむ」
のであれば人生は単純である。
しかしそうはいかず、もしもそんなに簡単な空気ブレーキなら、ゴムタイプが破れて空気が漏れたとたん、もはやまったくブレーキは作動しなくなる。
それでは困るから、対策として逆に動作する…
「空気パイプ内の圧力を下げればブレーキがかかり」
「気圧を上げればブレーキがゆるむ」
というシステムにしておけば、ゴムパイプの損傷も怖くはない。三動弁とはそのための装置で、機関車、客車や貨車、キハの1両ずつに取り付けてある。
(電車は事情が違うので省略)
では三動弁とは、どういう仕掛けであろうか?
いやだめだめ。仕掛けも覚えられない者が説明などできるはずがない。
興味をお持ちなら、ご自分で調べてください。電気仕掛けを一切使わずに、自然の摂理を上手に利用しているのに驚きます。
ただ三動弁にも欠点はあり、特に長編成の場合、ブレーキをゆるめるのに時間がかかります。1分とか。
(個人的には、三動弁とは圧力低下を感知してブレーキをかけ、圧力上昇を感知してゆるめる。そういう「読み替え装置」とだけ理解しています)