蒸気機関車

文字数 647文字

 蒸気機関車に関する本を読んでいて、ものすごく驚いたことがある。
 蒸気機関車というのは、電気車両や内燃車両とは大きく違うのだ。なぜって…

 ELでもDLでも、モハでもキハでも、発車後、運転士は好きなだけノッチを開いたままに保つことができる。
 なんなら何分間もノッチオンを続けても、どうということはない。どこかで加速は頭打ちになるが、列車は通常通り走行を続ける。
(DMH17系エンジンを持つキハではオーバーヒートを防ぐため、「5ノッチは5分間以内」という制限があったらしいが、それは置いておいて)

 ところが蒸気機関車はそうはいかない。
 加減弁を開けたままになんかしたら、ボイラー圧力がどんどん下がってくるのだ。
 だから切りの良いところで、加減弁は必ずオフにしなくてはならない。その後は惰行である。

 蒸気機関車は、好きで惰行をするわけではない。
 もしも惰行せずに加減弁オンを続けたなら、列車はどんどん減速し、あげく停まってしまうだろう。
 つまり蒸気機関車の場合には、

「走行のためにシリンダーが消費する蒸気量」

が、

「ボイラーが生産することのできる蒸気量」
 
 よりも大きいわけ。
 蒸気機関車の2名の乗務員も一種の分業状態にあり…

機関手は「蒸気を消費する人」

で、

機関助手は「蒸気を製造する人」
 なんですわ。

 惰行中の蒸気機関車はせっせと、
「頑張って蒸気を作っている」
 わけ。

 同じことは停車時間にも言え、駅で停車している間はもちろん蒸気を消費しないから、この時にも必死になって蒸気を作り、発車に備えている。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み