両運転台

文字数 635文字

 中学の頃に友人が言った。
「1両のキハ20があって、もしも二人の運転手がそれぞれ前後の運転台に乗り、マスコンを同時にオンにしたら、このキハはどちらの方向へ走るのだろうか? もしかして、車体の中央で真っ二つになるのか?」

 いえいえ友人殿、
 夢を壊して申し訳ないが、両運転台の車両にはスイッチがあり、前と後ろの運転台のどちらを使用するか、事前に選択するようになっている。
 前運転台を使っている時には、後ろ運転台は無効。
 後ろが有効の時には、前は無効になる。

 ただ問題は、キハ20について、そんなスイッチを見た記憶が、私もすでに薄くなっていること。
 路面電車の運転台でその手のスイッチを見たことははっきり記憶にあるから、きっとキハもそうであろう。


(キハ20の前と後ろ、どっちが前で、どっちが後ろ?)

…トイレのある側が後ろ。


(トイレのない両運転台車なら?)

…確かエンジンのある側が前だったと思う。


(いやそもそも、両運転台車の前後って、何やねん?)

…鉄道模型の本に、よく車両の図面が載ってるでしょ? あの図面は、車両の前部が左側になるように描く習慣がある。そういうものなんですよ。


(エンジンのある側が前だって?)

…だからDE10の図面は、長い側のボンネットが左側になるように描かれる。
DF50のラジエーターが図面の右側にあるのも同じ理由。


(EF65は?)

…電気機関車の場合、空気圧縮機のある側が後ろ。たぶん。


(あんたは、なんでそんなに偉そうなん?)

…仕様です。あきらめてください。
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