貫通路

文字数 703文字

 
 他の国鉄電車やキハに比べて、80系電車の貫通路はずいぶん幅が広いと思っていたけれど、調べてみると実は20センチ程度の差でしかない。
 それでも広幅であることに違いはなく、歴史上初めての長距離用電車ということで、国鉄も車内のゆったり感を演出したかったのかもしれない。

 だがおかげで、クハ86の前面を貫通式にすることが不可能になってしまった。
 そのせいで長編成の場合、通り抜けのできない場所が生まれてしまい、不便だったとどこかで読んだことがある。
 事実、80系電車の後釜ともいうべき153系は貫通路を狭く戻し、クハも貫通式にしてしまった。
 そして今回は、この広幅貫通路のお話。

 上記の通り、貫通路幅を1000ミリも取ったことで、クハ86を貫通式に作るのは不可能になってしまった。
 だがもしも80系電車の貫通路が、他車と同じ800ミリ程度の幅で作られていたなら…。

「やっぱりクハは貫通式の方が便利やで」

 と、クハ86も当たり前のように貫通式にデザインされていたかもしれない。



ならば、あれだけ一世を風靡した湘南顔は世に登場しなかったかもしれない。

↓ 

もちろんEF58は湘南顔にならず、もっと違った顔をしていただろう。



EF58をパノラミック化したデザインであるEF60も、当然ながら違った顔になり、その後のEF65もED76も、EF70、EF80からEF81までが、現在の我々が想像もしない顔になっていたかもしれない。

 そうなっていないのは、

『昭和20年代に80系電車を広幅貫通路で作ってくれたおかげである』

 と言えるのかもしれないよ。
 国鉄ELの顔デザインを決めたのは、なんと80系電車の貫通路巾だったわけ。
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