DMH17
文字数 699文字
ウィキペディアによると、DMH17には、エンジンのかかりが悪いという短所があったそうだ。
そう言われてみると、私にも、ははあと思い当たるフシがある。
あるとき青春18きっぷと寝袋を持って、数日間の旅行をした。
神戸から西へ行って岡山。
宇高連絡船で高松。
土讃線で高知を経て、窪川駅で一泊目の夜を迎えた。
当時まだ窪川は無人駅ではなかったかもしれないが、とにかく待合室で寝袋に、くるまることができた。
少し変わった構造の駅で、線路は地平というには高く、2階というには低い、ちょっと中2階と呼びたくなる高さにある。
おそらく1番線だと思うが、明日の始発列車になる編成がそこには待機していて、中2階なのだから、待合室から見て、ちょうど目の前にDMH17が鎮座している格好。
私はぐうぐう眠っていたが、やがて夜が明け、発車準備をする時が来たのだろう。眠っている私のすぐ横でセルモーターが回されて、DMH17が始動なさいました。
あれは、…一発で目が覚めます。
DMH17に優しく起こされ、私の青春18きっぷ旅行は続いたのだが、2日後の夜には平戸口駅にいた。
ここでは待合室ではなく、駅のすぐ外の地面で寝ていた。
途中、真夜中に犬にほえられるという出来事もあったが、起き出すにはまだまだ早い。
夜が明けて、やっと時間になって私は寝袋からはい出したが、気になることがある。だから駅員さんに質問してみた。
「昨夜一晩中、どうしてキハのエンジンがかけっぱなしだったんですか?」
そのお答えは、
「朝になってエンジンがかからないことがあるので、乗務員によってはエンジンを止めないままにすることがある」
だそうでした。