貨車移動機

文字数 703文字

 貨車移動機というのは、かつては多くの駅にいて、入換作業をしていた。
 都会を除いては、昔はほとんどの駅に貨物ホームがあったのだから、とにかく大量の貨車移動機が必要だったのだろう。
 今たとえば、荷を満載したワム80000があるとして、1両でも総重量は26トンにもなるから、これを10メートル移動させるだけでも、結構な大仕事になる。
 戦前では多くの駅で、これを人が押していたのだそうだが、駅によっては馬を使っていたと聞いたこともある。
 戦後になると、さすがに貨車移動機が配置されたが、これにもサイズがあって、それぞれ20トン、10トン、5トンといった重さ。
 ついでながら、私の父の帰省先の小駅には一番小さい5トン機がいたから、その程度の貨物需要だったのだろう。
 私事で恐縮だけれど、私が生まれて初めて自主的に撮影した車両が、この5トン貨車移動機だった。

 5トンではなく10トン移動機のことだが、何かの本でスペック表を見たことがあるが、最高速度は確か時速20キロと書いてあった。

 貨車移動機と機関車の違いとは、要するに、
「鉄道車両として正式に登録されているかどうか」
 ということだから、貨車移動機を登録すれば正式なDLたりえるし(実例あり)、逆に元は正式な機関車であっても、登録を消して貨車移動機に身分を変えることもあり得る。

 JR貨物はある駅で、DE10を貨車移動機として使用しているそうな。
 国鉄時代、浜松工場には代々の入換機がいて、時代とともに、ED11、ED18、ED62と入れ替わっていったが、これらが機関車のままで車籍を有していたのか、それとも登録抹消して貨車移動機になっていたのかどうかは知らない。


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