EF13

文字数 1,176文字


 昭和26年ごろにおける国鉄ELの改修計画は、下記のようだったかもしれない。
(この時点で、EF13はまだ凸型車体で、EF58はSGのないデッキ付き車体だった)

『改修計画A』
 戦時型なだけあって、旧EF13はいろいろな機器が省略されたままで落成していた。
(コンプレッサーが1台しかない。弱界磁制御ナシ。高速度遮断機ナシ)
 ぜひともこれらの改良が必要なのだが、あの凸型車体には、どうやっても全部の機器は収まりそうにない(※)。
 よって、車体の新造が必要と思われる…

「えっ? EF13って、あんな地味な貨物機の改修にそんな大枚をはたくなんて、もったいなくね?」

「だが仕方あるまい。必要なんだから」

 という会話があったかどうかは知らないが、お話変わって…


『改修計画B』
「EF58なんだが、SGがついてないのが、なんとも面倒くせえ。冬になるたび、暖房車を引っ張り出す必要があるなんてさ」

 ならば、EF58にもSGを積んでしまえばよろしい。
 積むとして、車内にスペースが確保できるかどうかは心配ない。
 EF56もEF57もSGを積んでいる。
 EF58の車体が、EF56やEF57に比べて特に小さいというわけじゃなし、大丈夫。
 ところが、

「繰り返しになるけどさあ、やっぱりEF13みたいに地味な貨物機に大金を使うのはヤダー。どうせ車体を新造させられるなら、特急なんかもけん引して、華々しいEF58に金を使いたいじゃないですか」

 この議論の結果は、皆さんもよくご存知の通り。
 時流と流行に乗って、湘南型の車体が新造されてEF58に乗せられ、そのお古の車体を受け取って、EF13はあのような姿になった。
 これはすべて、EF13の旧車体が、必要な機器を全て納めるには小さすぎたことに起因しているのかもしれないよ。
 もしもEF13の旧車体が小さすぎなければ、全ての機器がつつがなく収容され、車体の新造という話は流れてしまったはず。
 そしてEF58は、デッキ付き車体のままでSGが積まれてしまったはず。
 つまり、その後の日本形ELのスタイルは、EF13(旧)が決定したのだ、と言っても過言ではないのかもしれぬ。みなで感謝しよう。

 もしも史実とは違って、

「デッキ付き車体のままEF58にSGが搭載されて」

 いたなら、それこそそのままの形で、EF58は一生を終えていたかもしれない。
 だとすると、以前にも私が少し暴論を展開したように(※※)、

「EF60は、EF58のパノラミック・バージョンなのだから」

 もしかしたらEF60は、

「EF58(旧車体)をパノラミック化したデザインとすべし」

 という名のもと、クハ153のような顔(しかもデッキ付き)になっていたかもしれない。

※:残念ながら、この部分に根拠がございませぬ。

※※: 鉄道エッセイ 第12話 「湘南顔」 をご覧くださいませ。
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