201系
文字数 419文字
私はかつて、たった一度だが、201系電車と共に栄光に包まれたことがある。
201系とはあの201系のことで、京都駅での出来事であった。
私の乗った201系電車は、大阪方面から京都駅ホームへ到着したところだった。
ドアが開き、私はホームへと下車したのだが、どうも様子がおかしい。
ホームにいる少なからぬ数の人々が、みな私に注目しているようなのだ。
しかし私が珍奇な服装をしていたとか、社会の窓が開いていたというのではない。
「あれ? なぜ私はこんなにも見つめられるのだろう?」
その理由が分かったのは、ドアを閉めて201系が発車していった後のこと。
私は全く知らなかったのだが、この日の京都駅は「開業何周年だか記念」とかで、梅小路機関区から珍しい客が来ていたのだ。
それが中線に停車し、それと見物人たちと間に私の201系が入線した形だったらしい。
201系が去り、その場で振り向いた私の目に入ったのは、ゆったりと煙をはくC622の姿だった。