私鉄
文字数 857文字
最近はずいぶんと数を減らしてしまったけれど、昭和期には、規模の小さなローカル私鉄が全国のあちこちに存在していた。
法人格という意味では、小私鉄も大私鉄も変わらない。
駅があって線路があって、車庫があって本社があって、社長がいて従業員がいてと、ただ規模が小さくて、路線が短いというだけのこと。
昭和が終わる頃、そういったローカル私鉄は次々と廃線になってゆき、個人的なことですが、
「乗車したことはあるが、今はもう存在しない」
という社や路線がいくつもあったりする。
雑誌などでそういうローカル私鉄の記事を読むのが好きなのですが、何県の何鉄道であろうと、その栄枯盛衰にはパターンがあることが次第に見えてくる。
例えば人間でも、個人個人は違う人であっても、幼稚園へ行って、小学校へ行って中学へ行ってというように、多少居住地や年代がずれていても、人生の成り立ちは大ざっぱに一定しているというような。
・会社なのだから、まず発起人が集まらないことには何も始まらない。
集まって相談し、会社名や社長人事、役員人事を決めて登記する。
ただローカル私鉄の場合には、
「明治から大正にかけて切れ目なく、あまたの会社が設立されてきた」
というのではなくて、ちょっとした設立ブームというのが存在していた。
それが軽便鉄道法の成立で、それまでは私鉄を建設しようにも、
「たとえ私鉄であっても、国鉄線並みの厳格な規格に従うべし」
というルールがあり、これでは、地方の小資本で私鉄を起こすにはチトつらい。
このままでは、
「日本全国、津々浦々に線路を敷きまわす」
という政府の目標はとても達成できないので、そのあたりのルールを大幅に緩和したのが軽便鉄道法。
(線路のカーブ→きつくてもいいよ。
勾配→きつくてもいいよ。
駅→国鉄駅ほど大きくなくていいよ。
線路用地→取得がうまくできなかったら、道路の上を走ってもいいよ)
するとまあ、日本中に小私鉄ができるわできるわ。
ナローから1067軌間まで、よく言うことですが、まるで雨後のタケノコのよう。
(続きます)