つづき
文字数 1,205文字
・鉄道省へ路線免許を申請する。
要するに、「○○町から○○町へ向けて、経由地○○で鉄道を建設してよござんすか?」という申請。
免許がもらえる場合も、もちろんもらえない場合もある。
(もらえない場合→開業不能→会社の解散)
・土地の測量。用地の取得。
といっても、土地がいつもスムーズに売ってもらえるとは限らない。
住民が反対運動を起こす場合もある。
(なんとか売ってもらうか、土地収用法を発動するか、経由地を変更するか)
・株式の払い込み。
株主が「お前の会社の株を買うぜ」と言ってくれても、実際に金を払ってくれないことには、どうしようもない。
・多くの私鉄において、運悪く、ここらで第1次世界大戦が始まってしまう。
資材は高騰、ドイツに注文した機関車などは届かなくなってしまう。
(特にコッペル社に注文した小型タンクロコ)
・それでも何とか開業したとしても、全線をいちどきに開業するのはとても無理で、何回かに分けて部分開業を繰り返す。
鉄道省から降りてくる路線免許には条件が付けてあり、「何年何月までに実際の工事を始めること」や「何年何月までに営業運転を始めること」と規定されている。
期限延長は申請できるが、あまり何回も延長を試みると、免許取り消しの憂き目に。
・何とか開業し、やれやれと思っても、このあたりで時代は昭和。自動車が普及し始める。
といっても自家用車ではなくて、バスやトラックで、鉄道は乗客や荷を取られ始める。
フリークエントサービスという点では、とても蒸気列車はバスにはかなわない。
蒸気列車は運行コストがかかり、そうそう気軽に増発もできない。
しかもバスは経由地を自由に設定でき、列車は駅までしか行けないが、バスはもっと先の市街中心部とか、県庁前とかへ乗り入れできる。
・バスに対抗して、各地の非電化私鉄が続々とガソリンカーを導入し、走らせ始める。
(ガソリンエンジン付きの機械式気動車)
列車本数を増やす。運行コスト削減。
・ところが第二次世界大戦が始まり、ガソリンが手に入らなくなって、ガソリンカーの運転は中止。
客車代わりにロコでけん引するか、代用燃料を用いるかするが、この代用燃料というのが木炭ガスで、パワーがものすごく小さくなる
(→勾配が登れない。運転整備が面倒)。
ということで事実上、蒸気列車に逆戻り。
・戦後はインフレの時代。
物の値段が上がる上がる。
鉄道に特に影響が大きかったのが石炭で、そのため、やむなく電化に踏み切る鉄道が続出。
(大井川鉄道 三岐鉄道 下津井電鉄など)
・昭和30年代には社会も落ち着くが、再び自動車がやってくる。
再びバスが鉄道を脅かし始める。
実はこの時代に、たくさんの鉄道路線が営業をやめている。
(東濃鉄道、静岡鉄道や遠州鉄道の762ミリ線など)
その後もモータリゼーションは急速に進み、いくつもの路線が廃止されてゆく中、昭和が終わり、時代は平成に入ってゆくのでした。