レイアウト
文字数 1,011文字
「レイアウト」という言葉を辞書で調べても、当然ながら配置とか、配列という意味しか載っていない。
日本語のボキャブラリーとしては、比較的新しい語ではないかと思う。
例えば50年前であれば、印刷出版関係や、建築関係の人しか耳にしない単語だったかと思う。
…ひるがえって私は…
といっても別に自慢話でも何でもないが、レイアウトという言葉は小学生の頃から普通に知っていた。もちろん鉄道模型のレイアウトという意味で。
「僕もいつかは自分の家にレイアウトを作るんだ」
と意気込んでいたが、いまだに作っていない。
なぜそんなことを考えたのか、C62に20系客車をけん引させるつもりでいたが、C62などまだ買ったこともない。
実は、買う直前まで行ったことはある。
小学6年の頃、何か機関車を買うべしとお年玉をかき集めると、8000円ほどになった。
そして本とにらめっこをしたのだが、当時は科学教材社というところが、『工作ガイドブック』という電話帳みたいに大部な本を出していて、メーカーを問わず様々な商品が、鉄道模型と言わずプラモデルと言わず、ラジコンでも何でもありったけ掲載されていて、ありがたかった。
この時代には、まだNゲージよりもHOゲージの方が商品は多かった。
ELで言えば、NゲージはまだEF65とEF70しか発売されていなかった(両者ともKATO製品。TOMIXは日本型をまだ発売していなかった)。
それでHOゲージのC62を買おうと、私は工作ガイドブックのページを眺めていたのだが、某メーカー製のものが、かろうじて7000いくらの値段で、手が出せそうである(消費税はまだ存在しない)。
しかしもちろん、7000円ナニガシというのはC62の「完成品」ではなく、「塗装済みキット」ですらなく、「未塗装キット」の値段であった。
未塗装であるから、箱を開ければシンチュウの金色をしたボディがキラキラ光っている。
私はこれを買うことに決めたのだが、なぜだか理由は忘れてしまったが、結局購入はしなかった。
その代わり、同じような値段のPFのキットにした。
こちらはこの値段で、「塗装済みキット」が買えたから。
だが今になって考えても、この変心は良いことだったと思う。
蒸気機関車のキット、それも未塗装キットなんて、12歳の子供の手には負えなかっただろうから。
PFの方はめでたく完成し、しばらくの間、私の鉄道の主力機を務めることになった。