招かれざる客②
文字数 515文字
来客を告げるブザーが聞こえたのは、乾杯から三十分ほど経った頃だった。
談笑に湧く会場で、その音にはじめに気づいたのはノマだった。彼女はすぐに胸にかけた透証で応答する。
「はい。どちら様でしょう?」
ブザーは屋敷に用事がある者が門に触れると、自動で鳴る仕組みになっている。
誰かが門前で待っているようだった。予想外の来客である。ノマは応答しながら、何度も小首をかしげた。
「ジロウさん、ちょっと」
ノマとジロウは席を立って、部屋を退出した。ユウキは僅かに訝しむ表情を浮かべ、二人の背を見送った。
「お客さんかな」
何となく口にした侑子の言葉に、ユウキは腑に落ちない顔だった。
「もう招待してる人は、いないはずだけど。……歳納の宴の最中はね、滅多なことじゃないと席を外さないものなんだよ。午後六時から午前零時まで、その間は他所の宴にお邪魔することも控えるし、極力透証での通話もしない」
「そうなんだ」
では二人が出ていった今の状況は、相当重大な用事でもあったということだろうか。
途端に心配になったが、一方のユウキは表情を緩めて、侑子に料理の皿を勧めた。
「まあ、きっと大丈夫さ。食べて待ってよう。二人が戻ってきたら、料理の感想を教えてあげようよ」
談笑に湧く会場で、その音にはじめに気づいたのはノマだった。彼女はすぐに胸にかけた透証で応答する。
「はい。どちら様でしょう?」
ブザーは屋敷に用事がある者が門に触れると、自動で鳴る仕組みになっている。
誰かが門前で待っているようだった。予想外の来客である。ノマは応答しながら、何度も小首をかしげた。
「ジロウさん、ちょっと」
ノマとジロウは席を立って、部屋を退出した。ユウキは僅かに訝しむ表情を浮かべ、二人の背を見送った。
「お客さんかな」
何となく口にした侑子の言葉に、ユウキは腑に落ちない顔だった。
「もう招待してる人は、いないはずだけど。……歳納の宴の最中はね、滅多なことじゃないと席を外さないものなんだよ。午後六時から午前零時まで、その間は他所の宴にお邪魔することも控えるし、極力透証での通話もしない」
「そうなんだ」
では二人が出ていった今の状況は、相当重大な用事でもあったということだろうか。
途端に心配になったが、一方のユウキは表情を緩めて、侑子に料理の皿を勧めた。
「まあ、きっと大丈夫さ。食べて待ってよう。二人が戻ってきたら、料理の感想を教えてあげようよ」