あの日の色⑤
文字数 490文字
また一つの曲が終わり、侑子がマイクを下げた瞬間だった。
ふわっと衣装が持ち上がって、目の前が白くなったかと思うと、次の瞬間には侑子は別の衣装を身に纏っていた。
先程までの青い鱗の衣装ではなく、純白のテントラインワンピースだ。
ユウキが話していた、『早着替え』が実行されたのだ。ステージ上の全員が白の衣装に変わっている。
客席からの拍手が、一段と華やかになった。
「最後の曲いくよ」
ユウキの声に、アミのギターが続いた。空気を切り裂くような高音が、独特な歪み方をしている。
この日の為にユウキが作ったばかりの、新しい曲だった。
侑子は主旋律は歌わない。ユウキの声に合わせて、所々ハミングするように音を重ねるだけだ。
声を合わせる瞬間に、僅かに二人の視線が合う。
化粧が消えたその顔は紛れもなくユウキのものだったが、侑子はあの夢の中の半魚人と対峙している気分になった。
――不思議な気持ちを誘う旋律だ
歌声が終わり、楽器の音が一つずつ消え、最後はリリーの指先だけがゆっくりと鍵盤の上を歩いた。
最後の一音の余韻がすっかり空気中に消え去った後に、その日一番大きな歓声が、大広間を包み込んでいった。
ふわっと衣装が持ち上がって、目の前が白くなったかと思うと、次の瞬間には侑子は別の衣装を身に纏っていた。
先程までの青い鱗の衣装ではなく、純白のテントラインワンピースだ。
ユウキが話していた、『早着替え』が実行されたのだ。ステージ上の全員が白の衣装に変わっている。
客席からの拍手が、一段と華やかになった。
「最後の曲いくよ」
ユウキの声に、アミのギターが続いた。空気を切り裂くような高音が、独特な歪み方をしている。
この日の為にユウキが作ったばかりの、新しい曲だった。
侑子は主旋律は歌わない。ユウキの声に合わせて、所々ハミングするように音を重ねるだけだ。
声を合わせる瞬間に、僅かに二人の視線が合う。
化粧が消えたその顔は紛れもなくユウキのものだったが、侑子はあの夢の中の半魚人と対峙している気分になった。
――不思議な気持ちを誘う旋律だ
歌声が終わり、楽器の音が一つずつ消え、最後はリリーの指先だけがゆっくりと鍵盤の上を歩いた。
最後の一音の余韻がすっかり空気中に消え去った後に、その日一番大きな歓声が、大広間を包み込んでいった。