42.世界ⅰ合宿
文字数 728文字
軽音楽部の合宿は、二泊三日で行われる。
バスに揺られること二時間半。
スタジオが完備された小型合宿所は、総勢三十名の部員と引率の教員で貸切状態となった。
同じ一年生の女子四人が同室だ。
荷物を運び入れると、すぐに練習となる。中学時代の同好会の緩い雰囲気と違い、かなり時間にシビアだ。部員数が多いためだろう。
「私達第二スタジオだ。着いてすぐスタジオ使えるの、ラッキーだったね」
到着後に配布された、練習場所の振り分け表を確認しながら、結衣がよしっとガッツポーズを決める。
同じバンドに組み込まれた彼女は、侑子とクラスメートでもあった。ベース担当で、演奏歴は五年になるという。
「急ご。時間がもったいない」
「じゃあ、後でね」
同室の女子二人に手を振って、楽器を持って部屋を駆け足で後にする。
侑子達二人が共に練習するのは、裕貴ともう一人、ドラム担当の聖だ。彼も同じく一年生である。なるべく同学年同士でバンドを組ませることが、この学校の軽音楽部の方針だ。
「早いね」
侑子と結衣がスタジオ内の機材を準備している所に、男子二人が顧問を伴ってやってきた。
「うん。備品も問題なさそうだな。それじゃあ、終わったらきちんと元に戻すように。楽しんで」
「はーい」
合宿最終日には各バンドで演奏会を開く。一学期からこの合宿にかけて練習してきた楽曲を、三曲ずつ披露するのだ。
侑子たちが演奏する曲のうち一つは、ユウキが書いたものだった。
「準備できた? サウンドチェックやっちゃおう」
侑子はメンバーを見渡して、合図に片手を上げた。曲練習開始前のサウンドチェック。指揮を取るのは、自然とボーカルの侑子になっていた。
空気を歪ませる音の振動が、全身を包み込む。
音楽漬けの三日間が始まった。
バスに揺られること二時間半。
スタジオが完備された小型合宿所は、総勢三十名の部員と引率の教員で貸切状態となった。
同じ一年生の女子四人が同室だ。
荷物を運び入れると、すぐに練習となる。中学時代の同好会の緩い雰囲気と違い、かなり時間にシビアだ。部員数が多いためだろう。
「私達第二スタジオだ。着いてすぐスタジオ使えるの、ラッキーだったね」
到着後に配布された、練習場所の振り分け表を確認しながら、結衣がよしっとガッツポーズを決める。
同じバンドに組み込まれた彼女は、侑子とクラスメートでもあった。ベース担当で、演奏歴は五年になるという。
「急ご。時間がもったいない」
「じゃあ、後でね」
同室の女子二人に手を振って、楽器を持って部屋を駆け足で後にする。
侑子達二人が共に練習するのは、裕貴ともう一人、ドラム担当の聖だ。彼も同じく一年生である。なるべく同学年同士でバンドを組ませることが、この学校の軽音楽部の方針だ。
「早いね」
侑子と結衣がスタジオ内の機材を準備している所に、男子二人が顧問を伴ってやってきた。
「うん。備品も問題なさそうだな。それじゃあ、終わったらきちんと元に戻すように。楽しんで」
「はーい」
合宿最終日には各バンドで演奏会を開く。一学期からこの合宿にかけて練習してきた楽曲を、三曲ずつ披露するのだ。
侑子たちが演奏する曲のうち一つは、ユウキが書いたものだった。
「準備できた? サウンドチェックやっちゃおう」
侑子はメンバーを見渡して、合図に片手を上げた。曲練習開始前のサウンドチェック。指揮を取るのは、自然とボーカルの侑子になっていた。
空気を歪ませる音の振動が、全身を包み込む。
音楽漬けの三日間が始まった。