再会④

文字数 895文字

「ユーコちゃん。魔法の練習するなら、うちの畑でやればいいわよ」

 その後、早速侑子の透証発行のために変身館を後にしたエイマンと別れ、侑子はユウキとリリーと共に、商店街を歩いていた。

 仕事があるジロウは変身館に残り、ユウキとリリーが侑子に街を案内してくれることになったのだ。

 歩きながら侑子が魔法を使えないことや、彼女の魔力の色についての話題になった。

リリーもジロウと同じく、修練すれば侑子も魔法は使いこなせるようになると、見立てを立てた。そして彼女はそれ以上に有益な情報を、もたらしてくれたのだった。

「並行世界から来た人が持つ魔力は、無属性って呼ぶらしいわよ。透明無色で、他の属性のような分かりやすい特徴を持たないからなんですって」

 並行世界オタクのエイマンから得た知識らしい。

「エイマンのお父さんが面識があった平行世界から来た人は、魔法を使えたらしいわ。変わった魔法だったみたいだけど」

「そうなんですか? 使えたんだ、魔法」

 自分の可能性を感じられる、素晴らしい情報だった。
ユウキも興味津々の表情で、続きを聞きたそうにしている。

「変わった魔法って、どんな?」

「無属性の魔法ってね、普通の属性の魔法に、重ねがけするように働くんだって。だから通常の属性魔法を使うと、そこにコーティングするように無属性魔力が力を上塗りするみたいになって、結果で現れる効果が強力になってるらしいの」

「無意識に多重魔法が使えるってこと? すごいな」

「聞いただけだから、詳しくはわからないけどね。ただ威力が強力だったのは、確かみたいよ。エイマンのお父さん、よく爆発させてるのを見たって」

「爆発?」

「その人が政府からの要請で研究してるところに、視察したことがあったらしいの。とにかく爆発ばかりしてたって。政府からお願いされるくらいだから、すごい魔法を使えたってことなんだろうけどね」

 だからね、とリリーは侑子に冗談っぽく笑いかけた。

「ユーコちゃんも練習中に爆発させても大丈夫なように、広くて、周りに何もない場所のほうがいいと思うの。うちの畑、今何も育ててないただの空き地だから、うってつけよ。思う存分爆発させて構わない」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み