八千代から侑子へ

文字数 733文字

ユウコ

 旅はどう?
前回の手紙に、海沿いを移動すると書いてあった。
なるべく早く、この知らせがユウコの元に届きますように。

 ヤヒコが帰ってきた。

 私達は今、ユウコがこの世界に二度目にやってきた、あの廃墟近くの拠点まで戻ってきている。
ユウコがランと対面した、あのメムの里。

 準備をしている。

天膜破壊の犯人たち捕縛のための、準備を。

 ヤヒコは元気。
けど、手負いだ。酷くはないけど、今すぐには動けない。
犯人たち捕縛のためには、ヤヒコが必要。
彼の回復を待つための、準備期間でもある。

 ユウコ。
巡業で、もうすぐあなたは、あの廃墟の近くの港街まで来るのでしょう?

気をつけて。
廃墟には近づかないようにね。ユウコ達が滞在する街から、わざわざ訪れることはないと思うけど、あの廃墟も海沿いに位置している。

 あの場所は、犯人たち……ミウネ・ブンノウの研究施設(アジト)になっている。

 研究所を整えるために雇われた、多数の民間作業員達が殺された。口封じのため。
だけど逃げ延びた者もいた。紛れ込んだメムの仲間だ。彼らの救出のため、ヤヒコは負傷したの。

 ミウネ・ブンノウは、やはり兵器を製造してる。
その材料として天膜を利用して、そして、ユウコ達来訪者の魔力を必要としているらしい。

 気をつけて。

もうすぐ何とかできると思う。
ヤヒコはそう言っている。

 廃墟の位置を記した地図を同封する。
街からの道は完全に閉ざされて、分からなくされている。海に面しているけれど、港からは距離がある。
わざわざ近づこうとしない限り、うっかり足を踏み入れることは、ないだろうけど……気をつけてね。

 ユウキや、ツムグにもよろしく。
近いうちにまた会いましょう。その時には、心配事は解決しているよ。きっとね。
またユウコの歌を聴きたいな。


ヤチヨ
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