十二月②
文字数 563文字
侑子のいた日本では、師走とよばれる十二月。忙しいのはこの世界でも同じようだった。
ヒノクニでは年末年始は家族に限らず、友人知人などの親しい人と寝食を共に過ごすことが、習わしらしい。
今月に入ってからジロウの屋敷には、彼の友人や変身館の関係者たちが、家族を伴って訪れるようになっていた。
皆一ヶ月程、この屋敷で過ごすのだという。
侑子はここで暮らすようになって初めて、沢山の客室がほぼ全て埋まっている状態を、目にしたのだった。
そんな訳で、館の中は一日中人の気配が絶えず、賑やかだ。
自室から一歩廊下に出れば、誰かしらと顔を合わせる。最初こそこの賑やかさに面食らった侑子だったが、すぐに心地よさすら感じるほどに、順応してしまった。
自室にこもらず、こうやってサンルームで魔法練習しているのも、練習の合間に誰かと会話する機会を、逃したくないからだった。
少し過去の自分からは、想像もつかないような行動だった。今の侑子は、自分が誰かとの繋がりを欲していると、よく分かっていた。
この世界のことを、もっと知りたいという知識欲もあったし、誰かと会話してその人のことを少しずつ知っていくということに、喜びを見いだせるようになっていたのだ。
人前で歌を歌えるようになってから、人との関わりに及び腰になる必要はないのだと、納得したのだった。
ヒノクニでは年末年始は家族に限らず、友人知人などの親しい人と寝食を共に過ごすことが、習わしらしい。
今月に入ってからジロウの屋敷には、彼の友人や変身館の関係者たちが、家族を伴って訪れるようになっていた。
皆一ヶ月程、この屋敷で過ごすのだという。
侑子はここで暮らすようになって初めて、沢山の客室がほぼ全て埋まっている状態を、目にしたのだった。
そんな訳で、館の中は一日中人の気配が絶えず、賑やかだ。
自室から一歩廊下に出れば、誰かしらと顔を合わせる。最初こそこの賑やかさに面食らった侑子だったが、すぐに心地よさすら感じるほどに、順応してしまった。
自室にこもらず、こうやってサンルームで魔法練習しているのも、練習の合間に誰かと会話する機会を、逃したくないからだった。
少し過去の自分からは、想像もつかないような行動だった。今の侑子は、自分が誰かとの繋がりを欲していると、よく分かっていた。
この世界のことを、もっと知りたいという知識欲もあったし、誰かと会話してその人のことを少しずつ知っていくということに、喜びを見いだせるようになっていたのだ。
人前で歌を歌えるようになってから、人との関わりに及び腰になる必要はないのだと、納得したのだった。