46.初夏の提案

文字数 248文字

 侑子の生活は穏やかに回っていった。

 朝起きて、紡久が日課のスケッチをしている横でギターの練習をする。

日中は大人たちに勉強を教えてもらい、たまに変身館でユウキ達と歌を歌う。

一日のどこかでユウキと散歩をしながら、日々のことを振り返る。

 自分は並行世界からやってきた人間である、という意識は持ちつつも、この魔法の世界に溶け込んでいく。

侑子はそんな変化をすっかり受け入れているのだった。
 

 桜の季節が終わり、梅仕事も終わり、花の季節から新緑の季節へと移り変わっていった。
 
 侑子は、十四歳になっていた。
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