異変の裏ダンジョン 3
文字数 813文字
階段を上り、扉を開けると、そこで目にしたのは雪原だ。
「今度は雪!? 寒暖差でおかしくなっちゃうわよ!!」
ルーの言う通りだった。裏ダンジョンの敵は魔物だけではない。その予測できない気候も肉体と精神を蝕んでいた。
「汗が冷えちゃう……。風邪ひきそう……」
皆もルーと同じ気持ちである。ムツヤはコートを人数分取り出し、手渡した。
ムツヤが先頭に立ち、魔剣『ムゲンジゴク』を縦に振るい、炎の斬撃を飛ばす。
すると、雪原に一直線の道が出来た。
「凄い、道が……」
ユモトは思わずそう呟く。その道を歩いていると、ムツヤがふと歩みを止めた。
「敵が来てまず!!」
仲間達は周りを見渡す。すると、遠くに何かが見えた。
それらは近付き、姿がはっきり見えるようになる。白い毛が生えた巨大な猿の魔物だ。
「あれは……」
剣を引き抜いてモモは構えた。ムツヤは飛び出して猿の魔物を次々斬り捨てる。
群れでやってきたようで、数が多すぎてムツヤが数匹倒し損ねた魔物がアシノ達を襲う。
モモとヨーリィが前に
ヨーリィは木の杭を魔物に投げつけ、ナイフを顔面に突き刺した。思わず怯む猿の魔物。
その生まれた隙に一気に駆け寄ってモモは剣で切り捨てた。
別の魔物がモモに襲いかかるが、無力化の盾で拳を受け止め、その腕を斬り落とした。
ムツヤは爆発魔法や剣撃で派手に暴れている。やがて魔物は居なくなった。
「これで終わりか」
アシノが言うと同時にムツヤが隊列に帰ってきた。
「皆、怪我は無い!?」
ルーが心配そうに言うが、誰も怪我はしていない。
しばらく歩くと、扉が見える。
荒野を抜け、森林を抜け、ムツヤ達は二十階層までたどり着いた。
「二十階なので次は強い敵が出まず」
「十階層毎にボスが出るって所か?」
「はい、そうでず!」
ムツヤの言葉を聞いて、仲間達はより一層気を引き締める。