40日間 4

文字数 994文字

 エルフの生と死というものへの考え方は、大雑把に説明すると、自然から生まれた命がまた自然へと帰るといったものだ。

 墓地には新たな穴が掘られ、その隣にリースは厚い布に包まれて眠っていた。

 棺桶は存在せず、代わりに村中のエルフが土の中へ入れられたリースを埋め尽くす花を散りばめて、美しい歌を歌う。

「この歌は、死者の安らかな眠りと、また巡り巡って誕生することを祈るものです」

 歌が終わった後カノイはそう教えてくれた。土をかけるとリースとはお別れだ。

 モモは思わずしゃがみ込んで泣いてしまったし、ムツヤも立ったまま下を向いて泣いている。

 ユモトも祈りを捧げ、ルーも帽子で顔を隠して一筋涙が溢れた。

「リースさんのお墓は、私がご先祖様と一緒にお掃除して、お花も添えて、祈りを捧げます」

 カノイは改めて言ってくれる。ムツヤ達は頷いて、モモは「頼む」と一言う。

 悲しみに浸っていたいが、事態はそれを許してくれない。もう残された日数は39日しかないのだ。

 葬儀が終わると宿屋で音の妨害魔法を貼り、今後の方針について会議が行われた。

「さてと、キエーウの本拠地が分かった所だが……」

 アシノはそこまで言ってチラリとユモトとモモを見る。

「今度は最終決戦だ。戦いの方法は2つある」

 皆がアシノの話を真剣に聞いていた。それを分かった上でアシノは話す。

「まず1つ目、有志の冒険者と治安維持部隊を集めて総攻撃をかける。これはまぁ両陣営、死人が結構出るだろうな。それに裏の道具のことが公になる」

 死人と聞いてムツヤはゴクリと生唾を飲んだ。

「2つ目、私達だけで奇襲をかける。ムツヤを行かせれば向かうところ敵なしだ」

「アシノさん、俺が戦います!」

 思わずムツヤはそう言ったが、まぁ待てとアシノは話を続ける。

「その場合、ユモトとモモは冒険者ギルドで戦いが終わるまで保護を要請する」

「待って下さいアシノ殿!! 私では力不足なのは承知です! ですがっ!!」

「モモ、そしてユモト。前にも言ったが、お前達はその年にしては充分強い部類だ。技も心もな」

「だったら」とモモが言いかけたがアシノは目でそれを抑え込んだ。

「今回は事情が違う、ムツヤの弱点は私達なんだ。私達が人質に取られればムツヤはあっさり降伏するだろう」

 アシノの言う通りだ。ムツヤは仲間を盾にされたら何も出来なくなるだろう。

「もし着いてくると言うのならば…… 全員に条件がある」
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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