チェイサー 5

文字数 987文字

 王都の中ではアシノがコウモリを追いかけて次々に撃ち落とし、外ではムツヤが斬り捨てていた。

 兵士や勇者サツキと、そのパーティも黙ってそれを見ることしか出来なかった。

「そうだ、今のうちに怪我人を治すわ!!」

 クサギは怪我を負った兵士達の元へと走る。そして、しゃがみ込むと優しい笑顔を向けた。

「もう大丈夫だかんねー」

 怪我をした腕を手にとって、回復魔法を掛けた。

 ムツヤの薬を飲んだ時ほどではないが、出血は止まり、傷が癒えていく。

 次々に怪我人の手当てをしていくクサギ。それは聖女の名に相応しい優しさを纏っていた。

 アシノは何かを考えながら戦っていた。ワインボトルのフタとムツヤの魔剣、共通することは……。

 次の瞬間、ハッとすると同時に「どうしてもっと早く気付かなかったんだ」ともどかしさを覚えた。 

 仮説を試すためにムツヤに連絡を入れた。

「ムツヤ、なるべく特殊効果が無い裏の道具を使って攻撃してみろ!」

 言われた通りムゲンジゴクをしまい、塔で拾ったただの鉄製の剣を持ちコウモリを攻撃してみる。

 その刃はすり抜けること無くコウモリを切り裂いた。

「どうだ、ムツヤ!」

「斬れまじだ!!!」

 そうか、と言ってアシノはニヤリと笑う。

「まだ仮説だが、コイツ等には裏の道具が効くみたいだ。私とお前で片を付けるぞ!!」

「はい!!」

 アシノとムツヤは王都の中で、王都の外でそれぞれ暴れた。

 今のうちにアシノはルーにも連絡を入れておく。

「ルー、手短に話す。裏の道具でしか攻撃できない魔物が現れたみたいだ」

「どういうこと!?」

「時間がない、今は聞いてくれ。それでお前達にも最悪の場合戦ってもらう事になるかもしれない」

 パパンとコウモリを撃ち落としてからアシノは続けて言った。

「だがそれは、あくまで最後の手段だ。今は私とムツヤで戦っている。お前達までこの魔物に攻撃が出来たら話がややこしくなる」

「……、わかったわ」

 そこで通信は終わった。アシノは自分自身でコウモリを釣って撃つ。

 ムツヤは次々とコウモリに飛び掛かって切り落とした。

「皆さん、王都は勇者アシノ様に任せましょう。私達は目の前の敵に集中します!!」

 サツキが叫ぶと兵士の士気が上がり、魔物の群れを押し返していく。

「私もきましたよぉー、やること無いですし」

 カミクガも前線の白兵戦に参加し、その戦線の後ろ側から魔物を挟む形でルー達が登場する。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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