邪神サズァン 6

文字数 923文字

 三階には荒野が、四階には山脈が広がっている。

 敵は、ほぼムツヤが倒してくれたが、付いていくだけでも仲間達は疲弊していた。

 五階に到達すると、綺麗な湖畔が広がっていた。

「ちょっ、ちょっと私疲れたかも、休憩しない? 綺麗な場所だし!」

 ルーが言うとアシノは仲間達を見た。確かに皆、疲労が見える。

「ムツヤ、裏ダンジョンの最上階まで何階あるんだ?」

「えーっと、サズァン様の所まで六十階です!!」

 それを聞いてルーは絶望した。

「六十階!? あと何十回もこんな場所を通らなくちゃならないの!?」

「猶予はあまり無いんだ。少し休んだら行くぞ」

「あっ、でもここは……」

 ムツヤが言うより先に湖から何かが勢いよく飛び出て、水しぶきが辺りに舞う。

 美しい風景で忘れかけていた。ここはあくまで裏ダンジョンだという事を。

「何よあれ!?」

 現れたのは一瞬、巨大な蛇に見えたが、よく見ると巨大な水龍だ。

「あんなのどうやって倒せば!?」

 ユモトは杖を握って震えていた。そんな仲間達を尻目にムツヤは敵に向かって飛び出す。

 水龍は宙を飛んだ後、ムツヤに向かって一直線に向かってくる。

 剣を強く握り、すれ違いざまに水龍の首を一撃で切断した。そして一言。

「皆さん! 大丈夫でじたか!?」

「大丈夫かって……。何か前もこんな事あったな」

 アシノが言うと、緊張の糸が切れたモモもクスッと笑う。

「そうですね、ありましたね。こんな事」

 周りの魔物をある程度蹴散らし、ムツヤ達は休憩を取っていた。魔物が消えた後にユモトの病気を直した青い薬が落ちていた。

「そっか、僕の病気を治してくれた薬って、ここで……」

「そうでずね、飲むと疲れが取れますんで皆さんどうぞ!」

 もうカバンに数え切れないほどあったが、せっかく拾ったので皆で飲む。それぞれ副作用の奇声を発した。

「かー、やっぱ効くわね」

「だが、この量の薬やら武器やら、どこから現れてくるんだ?」

「わがりまぜん」

 アシノに尋ねられるが、裏ダンジョンを遊び場にしていたムツヤでさえ、その事を知らなかった。

「サズァン様に会ったら、全部話して貰いましょう。もうぜーんぶ!」

「そうでずね……」

 ムツヤは今、何を考えているのか分からないサズァンを思って立ち上がる。
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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