ジョンさん 2

文字数 1,239文字

「あの男、怪しすぎるな」

「そうよねー」

 アシノとルーはそんな会話をしていた。そこにモモが疑問をぶつける。

「あの男を拘束してしまえば良いのでは無いでしょうか?」

「いや、あの男の持ち物どれが裏の道具か分からない今は、下手に取り押さえるのは危険だ。思わぬ反撃を食らうかもしれない」

 アシノは言葉を続けた。

「あの男の情報を集めよう。今日中にはケリを付けたい」



「あのー、さっき街の外で戦っていた方ですよねー?」

 街の食堂で、ルーがジョンに話しかけていた。

「私達ー、さっきの戦い凄いなーって思って!! お話を聞きたいので隣、良いですか!?」

「えぇ、大した話は出来ませんが。どうぞ」

 ルーとユモトがジョンの両隣に座る。これはアシノの作戦の1つだった。




「私は立場上できんが、ルー、ユモト、お前達にはジョンって野郎に接近して欲しい」

「オッケー!! ハニートラップね!!」

「は、ハニートラップって!! 僕は男ですよ!?」

 ユモトが抗議の声を上げるが、ルーは「大丈夫大丈夫」と言う。

「私が話をするから、ユモトちゃんは話を合わせてニコニコしてれば良いだけだから!!」

 そんなこんなで言いくるめられてしまい、この状況に至る。

「確かジョンさんって呼ばれてましたよねー?」

 ルーが胸元を強調させながらジョンへ少し近付く。

「えぇ、ジョンと申します」

「ジョンさんさっき凄かったですよねー。もしかして、上級の冒険者なんですか?」

 ルーはジョンの視線が一瞬、胸元へ向かったことを見逃さなかった。

「一応、上級の冒険者ではあります。そして、落ちましたが勇者試験にも望んたことがありましてね」

「えー、勇者試験ですかー? すごーい!!」

 ぶりっ子のようにルーが振る舞うと、ジョンも気を良くしたのか、自慢話が始まり、食事をしながら二人はそれを聞き届けた。



「で、どうだった?」

 アシノに聞かれると、ルーは腕を組んで答える。

「もー、自慢ばっかりよあの男!! 紳士を装って、プライドは高いわね!! 付き合ったら変貌するタイプよ!!」

「そんな事はどうでもいい!!」

「はいはい、上級の冒険者で、勇者試験も受けたことがあるらしいわ」

 勇者試験と聞いてアシノは疑問符が思い浮かぶ。

「私達もギルドで聞き込みをして、上級の冒険者ってことは分かったが。勇者試験を受けるほどの人物だったら、私が知っていても良いはずなんだが……、知らんな」

「勇者試験なんてそうそう受かるもんでも無いでしょ」

「まぁ、何にせよ上級の冒険者ってことは気を抜けないって事だな。面倒くさいな」

 アシノはそう言って頭をかく。


 その後の尾行はムツヤに任せていた。隠密スキルと探知スキルを使い、ジョンを監視し、連絡石でアシノに報告を入れる。

 だが、夜まで特に怪しい行動はなく。中々ボロを出さないジョンに仲間達はイライラとしていた。

 そんな時だった。深夜、ジョンが街を抜け出すのを見てムツヤが連絡を入れる。

「ジョンさんが街の外へ出でいぎまず!!」

「やっとしっぽを見せたか、行くぞ!!」
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登場人物紹介

名前:ムツヤ・バックカントリー


 裏ダンジョンを遊び場にする主人公、ちょっと頭が残念。

名前:モモ


 オークの女の子

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